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ブランコ少年の独り言

このおじさんは本文の少年とは関係ありません。あくまでもイメージです。
このおじさんは本文の少年とは関係ありません。あくまでもイメージです。

 朝、晩、山谷堀公園を散歩している。もともとは隅田川から吉原まで続く堀を暗渠にし、その上に作られた公園だ。江戸時代、旦那衆が猪木船を仕立てて、吉原に通ったという。子供の頃から馴染みのある公園は、薄暗く、うらぶれた感じだったが、桜の季節のときだけは華やいだ。その公園が改修工事をして、大々的に生まれ変わった。大きな桜の木は切られ、その代わりに遊具が増えた。子供の姿が増え賑やかになったが、私は人がほとんどいない静かな公園が好きだった。ただ、道がまっすぐになり、見晴らしが良くなったので、試しに後ろ歩きをしたら、いつも使わない筋肉を使うからいい感じ。人にぶつからないように、たまに後ろを確認するから前より首も回るようになった。

 

数日前、いつものように後ろ歩きをしていたら、ブランコに乗る10歳くらいの少年と目が合った。すると彼は「後ろ向きに歩いてる~」と独り言ちながら、速攻でブランコを降り、方向を変え乗りなおし、「違う建物が見える~」と感動の声をあげたのである。180度向きを変えたんだから景色が変わるのは当たり前なんだけど、そのリアクションがとても新鮮だった。子供って素直でいいな~。今、TVでもSNSでもあの言葉で溢れ、世界中が同じことにおびえ憂えてる。数日前、TVで糸井重里さんが「1時間でもいいから、あのことから離れてみよう」みたいな提言をしていた。同感だったけど、どうしても気になって、情報を仕入れてしまう。でも、少年のようにさっそくやってみよう。何か違うものが見えてくるかもしれない。(悦代)

コメント: 9
  • #9

    深川 和郎 (日曜日, 14 6月 2020 10:25)

    とても新鮮な気持ちになれました。
    私も童心に戻りやってみます。

  • #8

    Hisako (火曜日, 19 5月 2020 22:17)

    後ろ歩きか~。新鮮!
    私も、少し似たような経験があります。
    以前我孫子に住んでいた時に、ダンナの友達がバードウォッチングのサークル仲間と一緒に手賀沼を歩きたいということで遊びにきたことがありました。
    私はバードウォッチングの趣味はないのですが、一緒に歩いてみました。
    みんな、「あっ、あそこにxxxxがいる!」「わー、○○だ!」などと、きゃあきゃあ言いながら楽しんでおり、私は「よく見つけるものだな~」と思ってました。「どうしてそんなにすぐ見つかるの?」と聞いてみたら、彼らはまず鳴き声をキャッチして、その方向を見て鳥の姿を見つけるんですって。

    で、私も真似して、耳を澄まして歩いてみました。そしたら、いつも散歩していた手賀沼湖畔の遊歩道がなんと新鮮なこと。
    それまでは視覚や嗅覚で楽しんでいた遊歩道が、まったく違う場所を歩いているかのような感覚になりましたよ。

    後ろ歩きか~。私もやってみよっかな。
    でも、ちょっぴり勇気がいるね。

  • #7

    崎谷未央 (木曜日, 14 5月 2020 16:38)

    悦代さん、こんにちは!!ブランコのエピソードいいですね~。私もちょっとだけ視点が変わる、そんなものをたくさん見つけたいです!
    今日、人にはがきを出そうとはがきセットをごそごそやっていたら、悦代さんの写真展のとき手紙が出てきて、思わず懐かしく、アルバムもひもといて。ほんの少し前のつもりが、あっという間に年月を重ねていますね。ブログ、ちょこちょこのぞかせてもらいますね~。

  • #6

    平井 けいこ (月曜日, 11 5月 2020 18:38)

    ようやく読めたよ!山谷堀公園の新緑もいいねえ!いくつになってもブランコ少年感覚保ち続ける人好きだなあ!
    医科歯科大がコロナ対応でたいへんになってると知ったのがこの独り言のころ!電話再診等対応始めて外来を避けました。

  • #5

    佐藤理恵 (日曜日, 10 5月 2020 15:06)

    悦代さんこんにちは

    後ろ向き歩き、いいですね!
    20代の頃、バイクの後ろに後ろ向きに乗って、小金井公園脇の桜並木を暗い中走ったことがあります。
    走ってるバイクの周りはライトに照らされて夜桜がとても綺麗、でもそれよりもっと綺麗だったのは、遠ざかってどんどん暗闇の中に溶け込んで消えて行く桜たち。幻想的でそれはそれは美しかったのだけれど、同時にえも言われぬ怖さを感じたのを今でも覚えています。
    なぜそんなことを思い立ったのかは忘れちゃいましたが、後ろ向きの忘れがたい思い出です。
    見方を変えるって面白いですよね。
    後ろ向き=ネガティブじゃなくて、実はポジティブよりもっとポジティブなことなのかも!
    なんぞと、コロナ騒動真っただ中にこのブログを読んで思ったことでした。

    まだまだ長引きそうですが、お互い元気に乗り切りましょうね。
    引きこもり生活、結構楽しんでいる佐藤でした。

  • #4

    マリリン (日曜日, 03 5月 2020 10:40)

    悦代さん、こんにちは!風薫5月。風はこんなに爽やかなのに。空はこんなに青いのに。緑はこんなに鮮やかなのに。○○〇鬱にならないように、○○〇太りにならないように、気の向くまま近くの公園までスロージョギングを課しています。少年のリアクション、新鮮ですね。柔軟で賢くて、即実行力?があり・・・そして新しい発見をする。こんな時こそ見習いたいものです。伊東さんとは、高校の同窓生。ご縁があってお会いすることができました。精神の若さも保っていきたいなあ・・・。

  • #3

    かおり (水曜日, 22 4月 2020 20:18)

    ほほえましい男の子ですね♡
    小さいころはブランコ大好きでした。
    こんな木漏れ日の中、のんきにブランコをこいでいたいものです…♪

  • #2

    Kyoko (月曜日, 20 4月 2020 10:59)

    昨夜、コロナ関連の夢まで見てしまいました。これではイカン、と、ブランコで気分転換もいいかもね、と思ってすぐ、その後は手を洗わないとなと、結局、コロナにもどってしまうのでした。

  • #1

    猪木原伊津子 (日曜日, 19 4月 2020 20:33)

    伊東悦代様
    猪木原伊津子です。
    メールありがとうございました。
    返信が遅くなり申し訳ありません。

    サイト、楽しく拝見しました。
    ねこの写真で、サビ柄の子が寝転んでいるのを見て思わず笑顔に。
    子供の頃、初めて飼った猫がサビ柄のおにゃんという猫で、
    その後、サビ猫に縁があり何匹が飼っていました。

    他に、押上1丁目の民家でしょうか、建物に興味を持ちました。
    新築時に家族のだんらんと笑い声があっただろうなぁと。
    (現在、人が住まれてるかもしれませんが勝手に空き家目線の妄想です)

    強く惹かれたのは野ぼとけさまたち。
    道端で見掛けると必ず見入ってしまいます。
    そのほとんどが江戸時代の年号が刻印されていたりします。
    新しいものでも明治くらい。
    伊東さんの撮った野ぼとけさまたちの写真を見て
    私たちよりずっと昔から世の中を見てきたんだと思い、
    文字では表現できない不思議な切ない様な気持ちになります。

    伊東さんの東京現代遺跡発掘の旅が出版された当時に
    交通新聞社さんがあったビルの跡にタワーマンションが建ちました。
    昭和11年、白木屋という百貨店だったビルで大塚に引っ越して来てからは
    目の前を都電が走りお気に入りの景色でしたが残念です。

    ブログもゆっくり読み進めて参りますね。
    写真を見たりブログを読んでいると今の憂鬱をほんの少し忘れられます。

    先の見えない不安の中、自分にできる事は、なるべく動き回らずに
    家にいるということ。
    一日も早く騒がしくて明るい日常が戻ります様に。
    伊東さんもお気を付けてお過ごしください。