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眼差しを介して人と人が繋がった!。こんなことって、あるんだ。

6日間の会期中連日天気もよく、写真展、無事終了しました。ご来場の方、ありがとうございました。ギャラリーのある奥野ビルは昭和7年建築の建物で、手動のエレベーターもあり、皆さんには空間も楽しんでいただけたようです。写真展のタイトルは「交感する眼差し」。「視線に感応してシャッターを切る。相手が人のこともあれば、動物や花、ときには壁のシミのときもあるけど、互いの眼差しがシンクロしたとき、空想と現実の狭間で新しい物語が始まるという」という趣旨です。

 

このタイトルを思いついたきっかけになった写真があります。コロナ前に浅草のサンバカーニバルで人の肩越しに撮った踊り子さんの写真です。私はシャッターを押した後、場所を移動して別の場所で座って写真を撮っていました。するとその踊り子さんが列から離れて近づいて、チェキ(インスタントカメラ)で写真を撮ってくれて、私にその写真をくれたのです。4年以上前ですが、私はこの小さな写真を冷蔵庫の扉に貼っていました。この写真を見て「交感する眼差し」というタイトルを思いついたんです。時間差もあるのに、お互い撮りあった気がして、何か眼差しが交感した気がしました。踊っているときカメラをどこに隠していたのだろうとずっと疑問でしたが、彼女は仲間のチェキを借りて、私を撮ったあと、その人に返していたと、今回初めて知りました。

 

彼女が撮ってくれた小さな写真を下の方に貼って(しゃがまないと見えない趣向)、その話をネタにして来場者に説明していたんです。すると、私の友人の知り合いが「私、この人知ってる~」と。そして、何人かの人を介してご本人に連絡が付き、最終日、ご本人が来てくれるというメールが届き、びっくり。だけど、あの格好で来るわけでもないし。今度は、その話で盛り上がり、コートを脱いだらあの格好だったりしてとか、メークをとったら誰だかわからないとか、みんな好き勝手な話で、また、盛り上がってしまいました。

 

最終日、オシャレなカップルが入ってきて、静かに写真を見ていました。他の写真の説明を終え、サンバカーニバルの話をし始めたら、ご主人が「こちらがその本人です」って。そこにいた全員が「え~っ!!」と驚きの声をあげ、「ブラジルの人じゃないんだ」と言う人もいました。ご本人もとても喜んでくださり、私とのツーショットも撮らせてくれました。美人さんで私は引き立て役でしたが、本当に嬉しい瞬間でした。

 

そして、彼女がチェキで撮ってくれた写真が、みんなの視線が交差していてとてもいいんです。後ろの方の人は踊り子さんが近づいてきて喜んでるし、隣の少女はなぜか私のことを見ている。大きなカメラが気になったのでしょうか。これこそ、「交感する眼差し」だと思いました。人と人が繋がった瞬間でした。

 

※踊り子さんの写真や展示風景は悦代フォトライフの中のフォトギャラリーで見ることができます。

コメント: 5
  • #5

    深川 和郎 (月曜日, 08 1月 2024 10:01)

    「交感する眼差し」
    良いタイトルです。
    SNSのい技術が発達して人との関わりが少なくなってきたこの世の中でカメラという手段を用いて撮る側も撮られる側で双方向的な関係を保ち素晴らしい作品が生まれると感じます。
    これからの素晴らしい写真を撮り続けてください。
    今年もよろしくお願いいたします。

  • #4

    とも吉 (金曜日, 01 12月 2023 17:57)

    悦ねえの視線が感応してシャッターを切ったように、
    悦ねえの眼差しを感じ、その視線に感応し、
    友だちにチェキを借りて、その瞬間の悦ねえを捉える踊り子さんの瞬発力もすごい!

    まさしく「交感する眼差し」。
    「交感する眼差し」と個展のタイトルを決めた時に、
    最終日の出会いへにつながる歯車が周り始めていたよう。

    今回の個展には、写真の力と悦ねえの人としての魅力がぎゅっと詰まっていて、
    とても気持ちがよかったです。

  • #3

    ふみこ (金曜日, 01 12月 2023 17:35)

    写真って、タイムトンネルの入り口みたいだね。その場にあの光景に即座に戻れる。それに眼差しが加わると人の温もりが感じられて「何か分かり合える」ような気がする。
    興味がそそられる写真ばかりで、エッちゃんの人柄みたいです

  • #2

    かおり (木曜日, 30 11月 2023 19:37)

    場所も写真も訪れる人も、すてきな展示でした!
    人や物にあいまみえる瞬間がしみじみと感じられました。
    なんと、びっくりな結末=最終日でしたね。
    なんだかエッセイ短編集のような、物語の切り抜きのようなお話だったので、踊り子さんの登場でほんとうにあったことなんだと実感できたような。

  • #1

    マリリン (水曜日, 29 11月 2023 18:55)

    【交感する眼差し】たくさんの繋がりを感じた写真展でした。伊東さんと被写体の交感する眼差しは勿論だけど、伊東さんの表現した作品と見学者、そして、見学者同士。なんとたくさんの【交感する眼差し】が飛び交っていたことでしょう!「交感する眼差し」って、「交感する心」なのかもしれないと感じられました。伊東さんのとってもとっても豊かな感受性と、とってもとっても豊かな表現力が、繋げてくれました!
    ありがとうございました・・・。