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ようこそ、イボGゼロの世界へ

1年ほど前、自宅の階段から落ちた。築60年の木造二階の家をリフォームしながら暮らしているが、狭く急な階段は昔のまま。その上から2段目に、掃除機の刷毛ノズルを落としたのを知らずに降りてしまったのだ。パイプ状のノズルの上にのった足はつるっと滑り、空中に投げ出され、階段の角で尻を強打。次の瞬間、脳裏をよぎったのはたった今TVで観たばかりの「タイタニック」の甲板から海へ真っ逆さまのシーン。

やばい!あるかないかわからない体幹(インナーマッスル)に力を込めた。下にいたカミさんは、絶対、頭から食器棚に突っ込むと思った。

しかし、嘘みたいに僕の両足着地が決まり、「凄い!」と目を真ん丸にしている。そんなカミさんにお尻を見てもらうと、出血や骨折はない。尾骶骨あたりは痛むが、連休で病院は休みなので、結局、医者には診せずじまい。それから1年。日常生活には支障はないものの、電車などで長いこと座っているとお尻が痛む。仕事も座業中心で、下半身の血の巡りも悪くなったような気がする。

 

そんなとき、浅草の安売り屋で見つけたのが、ハニカム構造のゲルシートクッション。無重力(ゼロG)の宇宙空間の座り心地が謳い文句で、値段も1390円と激安。二つ買った。お尻もいい塩梅だ。ところが2週間ほど経つと、お尻のある箇所が痛くなってきた。長時間の座業で、あの部分の血流が滞り、うっ血したのかもしれない。やはり激安のバッタ物は見た目が似ているだけなのか。そう、ゼロGでイボGになってしまったのだ。薬を買いに薬局にとぼとぼと向かっていると、なぜか以前TVで見た中国の若い女性作家のことを思い出した。彼女は高さを変えられるデスクで立ったままノートPCに向かっていた。

  そうか、ゼロGがダメなら、立ったままでやればいい。僕はB5のノートPCにディスプレイとキーボードを外付けし、無線マウスで仕事をしている。立ち仕事バージョンを完成させるべく、家中のガラクタを引っ張り出した。結局、調理台の下に収納する2段式ラックと木箱を重ねた上にディスプレイを、折り畳み式の小さなテーブルの上にキーボードとマウスを載せて準備完了。以来、1カ月以上立ったままPCに向かっている。もちろん、30分も同じ姿勢で立ったままだと結構疲れる。そんなときは、お尻を前後左右に振ったり、無理せずに少し座ることにしている。おかげでイボGも改善し、あるかないかわからなかった体幹も鍛えられているような気がする。加齢に伴う筋力の低下は遅かれ早かれ誰にもやってくる。この立ちポジションが筋力低下を食い止めることを願い、これからずっと続けようと思う。「1日6時間以上座っている人は、3時間未満の人と比べて、早期死亡のリスクが19%高くなる」という研究データもあることだし (邦彦)。

コメント: 4
  • #4

    深川 和郎 (火曜日, 25 8月 2020 00:22)

    毎日暑くなおかつ在宅勤務もありますが、なるべく時間を選んで歩くことをルーティンにしたいところです。

  • #3

    Kyoko (金曜日, 31 7月 2020 21:55)

    卵をお尻に敷いて座っても、卵が割れないってやつですね。Gじゃないけど、私も欲しいなと思ってました。

  • #2

    りお (火曜日, 21 7月 2020 17:20)

    階段から落ちた時の事、よく覚えてます。
    大事に至らなくて本当に良かった。
    私は仕事用の椅子としてバランスボールを使っていますが、体幹も鍛えられるし腰痛予防にもなってとても良いですよ⤴︎

  • #1

    ふみこ (火曜日, 21 7月 2020 07:06)

    Gを真ん中にするだけで分かりやすっ!
    階段落下事件、笑い事で済み良かったです。まさに神業です